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2008.03.14 名操舵手誕生
瀬戸内海を望む風光明媚なF山市。
そこにある、とある有名店「M工房」が
この長い長いお話の舞台でございます。


ある夏の日
朝顔の蔓を踏みしめて、その仔はふらりとやって来ました。
淡いミルクティー色の大きな茶トラの男のコ。
どうやら
工房のパートタイマーに雇ってもらうつもりのようでした。

心優しいおかみさんは
すぐにその仔と友達になりました。
しばらくは「通い」だったその仔は
その後、おかみさんの面接試験をクリアして
見事に住み込みの従業員へと昇格したのでございます。

そしておかみさんから素敵な名前も貰いました。
「とらっち」。
もう、フーテンのとらちゃんではありません。
彼には苗字と…そして家族が出来たのです。
M工房の看板猫さまの誕生でございます!


とらっち用にあつらえられたハウス。
その入り口に小さな傘が括り付けられている写真を見て
何人のお猫さま馬鹿隊が
「ああ、良かったね良かったね」と
モニターの向こうで目を細めて見守っていた事でしょう。

見る者の心を捉えて放さない
とらっちはそんな不思議な魅力のあるお猫さまでございました…。


いくつもの仕事を掛け持ちし
夜なべになる事もたびたびだったおかみさん。
そんなおかみさんに
誰もいなくなった工房の中でじっと寄り添うとらっちは
きっと…
誰よりも心強いおかみさんの相棒だったに違いありません。



そんな優しい時間がいつまでも続くと
おかみさんもお猫さま馬鹿隊一同も信じて疑っておりませんでした。

けれどとらっちは
突然…
来た時と同じようにふらりといってしまったのです。
新しい就職先を探しに
ふらりと…逝ってしまったのです。

おかみさんの嘆きはいかばかりだったでしょうか…。
お猫さま馬鹿隊も信じられない思いで泣きました。
いえ
今でも信じられない思いでいっぱいなのでございます。



2006年
春まだ浅い、ある日の事でございます。
しばらくは謎だったとらっちの再就職先
ついにそれが明かされる日がやってまいりました。

誰もが「あっ!」と驚いたその就職先は…「船」でございました。
しかもそれは
知る人ぞ知る「レインボー号」だったのです。

頑張った魂が虹の橋へ旅立つ時
必ずお迎えに来てくれるというレインボー号。
キャプテンである王様いっちゃんさんのたってのリクエストで
とらっちは「操舵手」として大抜擢されていたのです!

M工房の名看板猫さまから伝説の船の名操舵手へ。
とらっちの華麗なる転身でございました…。



080314rainbow.jpg

                     葛西のご隠居さま画「虹の橋号」



ずいぶん長い間
工房の自動ドアが開いた時に
とらっちを探す癖が抜けなかったおかみさん。
あるはずのない姿を探している事に気付いて
泣き笑いでその視線をそっと落としたのだそうでございます。
「ああ、とらっちは永久就職したんだっけ」と…。

とらっち。
貴方はどれだけ愛されたお猫さまなのでしょう。



我々お猫さま馬鹿隊は…こう思うのでございます。
誰もいないのに自動ドアが開く時
それは
休暇中のとらっちがおかみさんに会いに来ている時なのだと。


「ワシゃ、ここで見守っておるけん。しっかりのう」

そんな
とらっちの声が聞こえるような気がするのでございます…。



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