上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
朝晩の2回のご飯。
ちょびはいつでも
ダイニングの掃出し窓の下で伸び上がるようにして待っていた。

嬉しそうにご飯を食べるちょびを見ながら
私はいつもいつも、同じ台詞を呟いたものだ。

「ちょびちゃん、いっぱい食べてね。
 足らなかったら、いくらでもおかわりありますよ。
 ねーちゃん、でっかくて優しいちょびちゃんが大好きですよ。
 ごちそーさまして、それで、お見回りに行くなら、車に気を付けてね。
 道路を渡る時は
 右見て左見て右見て左見て、もう一回右を見て
 それでも車が来なかったら渡るんですよ。
 ちゃんと元気で帰って来てね。
 ドコにも行っちゃ嫌ですよ。
 ちょびちゃん、
 ちょびちゃんのおうちはココですよ」

ちょびが逝ってしまってからもう10年も経つのに
今でもよどみなくスラスラと言えるなんて、と思ったら
また泣き笑いしてしまった…。

当のちょびは
毎日毎日2回ずつ同じ事を言われ続けて
耳にさぞかし大きなタコが出来ていた事だろう。

けれど
お見回りにお供させてもらった時、私は見たのだ、
ちょびが本当に「右見て左見て右見て…」を実践しているところを!



掃出し窓の下でご飯を待つちょびの姿はもうない。
念仏を唱える事もなくなった。
それでも私は、最後のひと言だけは心の中で繰り返すのだ。

「ちょびちゃんのおうちは、ココですよ」



 
 
念仏現場にて。

070819a.jpg

スポンサーサイト
ぽんこハウス。

何故か隙間の多い犬小屋の
その隙間を内側からダンボールで全て塞ぎ
床には断熱材とクッションが入っている。
定位置は玄関脇の雨風が吹き込まない所。

安心感が出るかしらん?と
屋根から板を立てかけて入り口をブロックしてあった。

070717a.jpg



ぽんこハウス。
お天気の良い日には入口全開でおひさまぽかぽか。
よ~く見ると…
中にぽんこの頭が見える。

070717b.jpg



これは扉。
寒い時期に少しでも寒さから守りたくて
お猫さま用には大き過ぎる入り口をこれで塞いだ。

070717c.jpg



夕方になるとせっせとゆたんぽを入れに行った。
ホームセンターで売っている何の変哲もないゆたんぽだったけれど
それでも…
ぽんこは大喜びで上にちょこんと乗ってくれたっけ。


ちょびと違って、本当に箱入り娘だったぽんこ。
ほとんどの時間を庭かぽんこハウスで過ごして
どこかに出かけて行く事もない数年間だった。

小さな庭と小さなおうち。
そんな小さな世界で生きたぽんこ。
あたたかいお布団の中で
ニンゲンのぬくもりを感じながら眠る事もなかったぽんこ。


ねえ、ぽんこ。
貴女の一生には
どれくらいの「嬉しい」がありましたか?
どれくらいの「楽しい」がありましたか?

ねえ、ぽんこ。
ねーちゃんは貴女に
結局、何をしてあげられたというのでしょうね…。



おっとりやさんの風は
人みしりもお猫さまみしりもしない仔だった。

その良い見本が「子守り」。
当時の我が家の裏には、広大な製材工場があった。
雨風の心配もなく
外敵から隠れられる場所もたっぷりのそこは
おうちのない猫さん達の、格好の子育て場所だった。
いや…
たまに、どう見ても「おうちのある仔」が
臨時の子育て場所にしていたような時もあったけれど(^^;)

そんなわけで
我が家の庭に、親子連れのお猫さまが遊んでいる事は
そう珍しい事ではなかった。


風が仲良しになったのは
「ふじこさん」と呼んでいた、富士額模様の綺麗なお猫さまの子供達。
彼女の子供達がコロコロと庭で遊んでいると
風も喜んで庭に出る。
そして
何とも言えない優しい声で
「ふみ~、ほえぇ~、ほにゃぁ~ん」と言いながら
そーっとそばに寄って行くのだ。

子供達も風を怖がる様子もなく、ちょこちょこと寄って来る。
風は
普段遊ぶ時のやんちゃぶりはどこへやら
子供達にじゃれつかれても、傷つけないようにそーっと遊ばせている。
ひとりが遠くへ行きそうになると
そっとガードして、みんなのいる場所に戻したりしているし。

不思議な事に
そばで見守っているふじこ母さんも
全く風を威嚇する事もなく、のんびり毛繕いなどをしている。

その様子は、まさに「子守り」。
自分だって、まだ半年そこそこの子供なのに(^^;)

ふじこ母さんの号令一発
「みんな、帰るわよぉー」が出ると
子供達はそそくさと行ってしまう。
見送る風は、本当に寂しそう。


もしかしたら…
風は、兄弟達と楽しく遊んだ頃を思い出していたのかもしれない。
何かの事情で
ひとりぼっちで狭いケージに入れられて
「叩き売り」されていた風。
そんな風にだって
優しいお母さんや、じゃれあった兄弟達がいたはずなのだもの。

そう思ったら
急に風が不憫に思えて、涙が出た…。


風。
そんな貴方に
私達は、「家族として」何をしてあげられたのでしょうか。
短かかった…
あまりにも短かった貴方との時間。
無邪気に見上げる瞳を思い出しては
胸が痛くて痛くてたまらなくなるのです…。





070109b.jpg

ちょびとの楽しい思い出は
語り尽くせないほどたくさんあるけれど…。
その中でも
ダントツに楽しかったのは縄張りパトロールのお供だ。

夕ご飯が済んで
ヘソ天でご機嫌さんにしている時が頼み時。

「ちょびちゃん。
 お見回りに行くなら、ねーちゃんも連れて行って欲しいな~」

そう頼むと
OKの時は、すっくと立ち上がって「じゃ、行こうか」と
歩き出してくれる。

ちょびは
とても得意そうにしっぽをピーンと立てて
振り返り振り返り、私を先導してくれた。

そのしっぽは
実は途中から直角に曲がっているので
本猫様はピーンと立てているつもりでも
私から見ると、時計でいえば「2時半」(^^;)

大好きな2時半しっぽを見ながら
てくてくとちょびのあとを歩いて行くのは本当にわくわくした。

ちょびはお猫様なので
よそのおうちの生垣にも「ズボッ」と入って行ってしまう。
さすがにそのあとには続けないので
そんな時は外から助けを求める。

「ちょびちゃーん。
 ねーちゃんはそこには入れないですよう~~~~~」

すると
入った所の少し先から、またズボッと出てきてくれて
その後は
普段はしないであろう遠回りで、生垣に沿って歩いてくれるのだ。


ちょびの縄張りは実に広大で
パトロールにも色々なルートがあった。

1回のパトロールで1ブロック。
これがちょびの方針だったようで
歩き出す方向で「あ、今日はこっち方面の縄張りね」とわかったものだ。
そして
その、どのルートを行っても
普通に歩いて1時間以上はかかってしまう!

それに、当然の事ながら
ちょびにはちょびの事情もあるらしく
ある場所に来ると、そこで香箱を組んで休憩してしまう。

また
よそのおうちのお猫様専用出入り口から
ごくごく自然に入っていって(爆)
しばらーくしてから、また悠然と出てくる、という事も。

そんなちょびにお供して
何度、陽がとっぷりと暮れてしまったことだろう。
まばらな街灯だけが頼りの田舎道
「おーい、大丈夫?」とばかりにゆっくり先を歩くちょび。
なんだか
ちゃんと家まで送ってもらっているような
嬉しいような恥ずかしいような、そんな気持ちになったものだ。



ちょびは、魂だけになった今でも
まだ、縄張りの拡張に精を出しているらしい(笑)


…今年は
あの楽しかった思い出で、笑顔でちょびを偲ぼう。
ねえ、ちょびちゃん
もう9年も経つのにまだメソメソしちゃうねーちゃんに
ちゃんとそんな事、出来るのかしらね(^^;)




「2時半しっぽ」見参!
060819a.jpg

ぽんこは何故か
「にゃーん」と鳴かないお猫様だった。

「ぶぎゃーん」
「ぼがーん」

その可愛らしい姿からは想像できない
素晴しいダミ声、もとい、ハスキーボイス。
中でも一番心に残っているのが
「ほげぇ~」という、摩訶不思議な訴えるような声だ。

ぽんこが我が家にやってきて
まだ日も浅いある日の夜中の事。

いつもなら
玄関脇のぽんこハウスでやすんでいるはずのぽんこが
ほげぇ~、ほげぇ~、と鳴いている。
しかも…
この声は近い!

何事かと思って部屋を出た私は
窓に映るシルエットを見て絶句した。

…ぽんこ…。

二階の窓の面格子とガラスとの狭い隙間に
ぽんこがすっぽりとはまっている!
一体…
どこをどうつたって来たのだろうか。

ひとりぼっちが寂しくて
明かりがついている窓を目指して
一生懸命に登ってきたのだろうか…。

救出に大わらわになりながらも
そんなぽんこがいじらしくて涙が出た。


かすかに聞こえる「ほげぇ~」と言う声に
広縁のカーテンを開けると
外からこちらを見ている、という事も良くあった。

置き去りにして見捨てられるまでは
おそらく、とても可愛がられていたであろうぽんこ。
ひとりぼっちが寂しかったのだろう。


何故…
何故、こんな仔を家に入れてやれなかったのだろう。
何故
もっと色々調べて工夫して
うーちゃんと一緒に暮らせる方法を見つけられなかったのだろう…。

知識がなかった…
反対を説得するだけのちからがなかった…
いや
そんな事はすべて言い訳だ。

一番必要だったのに
私になかったのは
ぽんこの為に一歩踏み出す、勇気だった。

ないないづくしの
こんなふがいない大馬鹿たれの所に迷い込んで来たばかりに
ぽんこは…
誰にも看取られずに
たったひとりで虹の橋へと旅立つハメになってしまった。


どんなに泣いても
どんなに後悔しても
どんなに謝っても
魂だけになってしまったぽんこの声を聞くことは
もう、私には出来ないのだ。




いつもこうして
玄関の前で家の者が帰ってくるのを待っていたね…。
060717a.jpg

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。